生態

スズメバチの狩り


狩るハチ
昆虫は何を餌にして生きているのが気になったことはありませんか?スズメバチはその毒性の強い針を持っていますので、自分たちよりも大きな獲物でも捕まえて餌にしていそうな印象があります。
実際にスズメバチがどのようなものを餌にしているのか、そしてその狩りは一体どのように行われるのかを詳しく見ていきましょう。

スズメバチの獲物とは?

スズメバチは主に他の昆虫類を餌にしていますが、樹液が出る場所でも見られることから樹液も餌の一つだとみなされています。しかしスズメバチの幼虫が成長するためにはタンパク質を摂取しなくてはいけませんので、タンパク源が主な餌として必要になりなす。

昆虫を餌にしている

昆虫と一口にいってもさまざまな種類がありますが、スズメバチは基本的にあらゆる種類の昆虫を餌としています。
セミ、トンボ、ばった、アブ、カマキリ、チョウ、クモなど明らかに自分たちよりも体が大きな昆虫でも餌にしてしまいます。
スズメバチは水の中に入ることができませんので、水の中で生息している昆虫以外はほぼスズメバチの餌になると思っていいでしょう。

種類によっては特定の昆虫を餌にする

スズメバチにもいくつかの種類がありますが、種類によっては不特定の昆虫を餌とするのではなく特定の昆虫を餌にするタイプがあります。
たとえばモンスズメバチと呼ばれる種類のスズメバチはセミを餌として食べることが報告されていますし、ヒメスズメバチと呼ばれる種類は幼虫の蛹を主な餌としています。
にはいろいろな種類の昆虫を餌としているだけでなく、生の魚を餌として食べている種類のスズメバチも報告されています。

種類別、狩りの特徴

スズメバチが餌となる昆虫などを仕留めるときはどのような方法で行うのでしょうか、またその種類によって狩りの方法は異なるのでしょうか。

幼虫と成虫のための狩り

スズメバチは巣に残っている幼虫にも餌を与えなくてはいけませんので、幼虫のための獲物と自分の食べ物の両方を確保しなくてはいけません。
スズメバチが獲物をしとめるときは、自分の毒針で相手に襲い掛かって強力なあごで獲物をかみ砕くのです。
コガネムシやバッタ、セミといった自分たちよりも体の大きな昆虫でさえもスズメバチにはかなわないのです。また狩りのやり方は種類によって大きな差はないようです。
スズメバチは獲物をかみ砕いて団子状に丸めて食べやすいようにしてから巣に運び、それを幼虫に与えます。
そしてその幼虫が出す分泌液を餌にして働きバチは自分たちのスタミナを維持しているのです。

個体から終端攻撃へ

スズメバチの狩りの方法は個体から集団に変わっていくのが特徴的です。個体では攻撃できる餌にも限りが出てしまいますが、集団で襲うことでより大きな獲物も獲得できるようになります。
最初は個体の働きバチがそれぞれのハチから分泌されるフェロモンが他の仲間のハチを呼び寄せるようになります。
そのうち単独から集団行動するようになり、集団で獲物を襲うことが増えるようになるのです。
#スズメバチは、他の蜂を攻撃する
スズメバチは非常に攻撃性の高い昆虫であり、同じハチの仲間を襲うこともあり大変危険です。

ターゲットになりやすいミツバチ

スズメバチは毒針と強力なあごで獲物を獲得しますが、時には別の種類のスズメバチを襲って餌にすることもあります。
特に襲われやすいのはハチの中でも穏やかな性格のミツバチであり、天然のミツバチだけでなく養蜂場にいるミツバチが襲われることもあります。
たとえばスズメバチ10匹程度で10,000匹クラスのミツバチの巣が滅ぼされてしまうこともあるほどです。

他の種類のスズメバチを襲うことも

スズメバチが恐ろしいのは他の種類のハチだけでなく、スズメバチを襲うことさえもあるからです。
特に秋口からは餌となる昆虫の数も減少していきますから、餌を求めて他のハチを攻撃したりスズメバチを攻撃して餌にしたりといった行動が多く見られるようになります。
その他のスズメバチの生態はこちら → スズメバチの生態と環境